【百物語 第二十二話】緑の顔 : てら…こわす。~怖い話まとめちゃんねる~
怖い話まとめ☆てらこわす

【百物語 第二十二話】緑の顔


「座敷童子の出勤」を投稿した者です。興味深い話を一つ語ります。
自分が体験した事ではないのですが体験された本人から直接伺ったお話です。


体験されたのは自分の祖母のお友達で仮にAさん(女性)とします。
体験されたのは戦後すぐ昭和20年代の初め頃だそうで、Aさんはまだ尋常小学校の生徒でした。

Aさん宅では農家を営んでおり、家畜の牛を数頭飼っていました。
この牛を毎朝、裏山にある組合により定められたAさん宅の放牧地に連れて行くのが、年少の兄妹達にかせられた仕事でした。

深夜3時頃には家を出て牛を放牧地に放し、牛が食事をあらかた終え空が明るくなる頃に家に戻り、その後自分たちの食事をし学校へ向かうのだそうです。
あくる日もAさんはその日課のため牛を引き連れ放牧地へ向かいました。
普段はほかの兄妹もう一人とゆくのですがその日は一人だったそうです。

放牧地についたら綱を牛の角に巻き、「ホレ」と言って牛を放します。
牛たちは各々好きなところで草を食み、沢の水を飲んで満腹になったらAさんのところ
に戻り座って反芻するのだそうです。牛たちは賢く逃げたりすることはなく、通常Aさん兄妹は大きな木の根元で星を見たり、歌を歌ったり、眠っていたそうです。

Aさんは一人で牛を放した後、木の根元でそのまま眠ってしまいました。
どれくらい時間が経ったか、ふと目を覚ますと空が少し白み始めていました。
これはいけないと、起き上がりましたが今日に限って牛が周りに一頭もいません。
どうしたことかとあたりを探すと少し離れたところで牛たちはかたまっていました。

近づくと牛たちは円陣を組みひどく怯えた様子でAさんに擦り寄ってきました。
牛をなだめながらAさんが視線を落とすと数十m下の斜面にある大きな石の上に誰かが腰掛けていたのです。

目を凝らしてみると、ほっかむりをした縞の着物を着た男の人のようで俯いています。
家の牧草地に何の用だろうかとAさんは警戒しつつ、牛達の綱を掴みそっと場を離れようとしました。
その時、そのほっかむりの頭が頭だけぐるりとこちらを向いたのです。

肝を潰したAさんは牛達とほうほうの体で逃げ出し、家まで逃げ帰りました。

家に帰ったAさんは起きたことを包み隠さず父に話しましたが、全く取り合ってもらえぬばかりか、仕事が嫌でそのような嘘をついているのだろうと激しく叱責され、よしんば不思議な目にあったとしてそれはタヌキかキツネに化かされたのだろう、ダラダラしているからそのような目に遭うのだと、散々に言われました。

明日もまた一人で行くようにと厳命されましたがAさんは嫌で嫌でたまりません。
しかしそれを見かねた歳の離れた一番上の姉が代わりに行ってくれることになりました。

このAさんの一番上の姉というのがたいそう肝の据わった人で、一人で山の奥深くまで分け入り、沼でじゅん菜を採ったり珍しいキノコを見つけてくる豪気な人でした。

翌日、姉は放牧地よりさらに上の沼と薄の野原がある場所まで行き、山菜採りに興じようと考えずんずんと山に入ってゆきました。
明るくなるまでしばし休憩し辺りが辛うじて見える頃になって沼の周りをぐるりと探索し始めたそうです。

ところ変わって、家で炊事の手伝いや薪拾いをしていたAさんの元へひょっこり牛が帰ってきました。驚いたAさんや家族はもしや姉様に何かあったのではと戸口から出たところ、向こうの方から手を振りながら残りの牛を引き連れて姉が降りてきたそうです。
そして「確かに変なのに出会った、当分は行かないほうがいい」と開口一番語りました。
恐る恐るAさんは何に出会ったのか聞くと姉は「緑の顔を見た」というのです。

沼をぐるりと回り、何かないかと探していたところ水面に顎より上だけの緑色と少し黒の斑の顔が覗いていたそうです。
目は空洞で虚ろにこちらを向いていたそれは波一つ立てず、すすと草の陰に隠れ見えなくなりました。すると急に寒気がして、慌てて牛の尻を棒キレで叩きながら山を下ってきたそうなのです。

結果年長の娘までもがこのような目にあい父親は山の放牧地に行かせるのを止め、家から近いところに新たに場所を借りたそうです。
それ以降、Aさんは特に何かに出会ったということはありませんでした。


これが今回自分が教えていただいたお話です。
場所もはっきりと教えられているのですが、バリバリ今でも人が住んでらっしゃる地域なので岩手県の南部で北上高地のどこかとだけ言っておきます。

おわり




怖い名無しさん、投稿ありがとうございました


関連記事

~おすすめサイトの新着記事一覧~

この記事へのコメント

  1. 怖い名無しさん 2014年04月17日 10:13:44

    こえええええええ~!

    昔の子供は、よーお手伝い(の域ではないな。家の仕事だな)するなと感心した。

    でも、さすがに一人では行けない。大人になった今でも無理。
  2. 怖い名無しさん 2014年04月17日 10:48:53

    沼に緑色で目が虚ろってことは蛙か土左衛門ですかね

    色の人の話も3色目ですね
    あとは赤さえいれば戦隊結成の運びとなるのでしょうか?
  3. あき 2014年04月18日 22:49:52

    半分だけ顔出して覗かないでほしい!だって怖いから!!

    そしてお姉ちゃん強過ぎるーなんとも頼もしい!(*; ̄□ ̄)

    他の方のコメント読んで
    確かに!色の人関連話も3色目ですね!

    ただ赤い人ではないかもだけど
    前にこちらの管理人さんチョイスのお話で
    (※12月掲載分で、管理人さんの月間ランキング12月分から見ると、飛びやすいと思います)
    赤い影の何者かが登場するお話で
    「玄関に立つ赤い影」と言う逸話がありましたよー
    後はブルーの人も色のバランス的に欲しいですが(笑)
    青い人って響きだけで嫌ですね↓
    このお話の緑の人と言い
    寒色系の人って何れも殊更不気味度増しますね
  4. 名無しのグルメ 2014年06月21日 18:23:39

    遠野物語?
  5. 怖い名無しさん 2014年07月17日 10:08:29

    カッパかな…。
  6. 怖い名無しさん 2014年07月31日 01:06:03

    まだマシだ、首塚でカメラの金縛り(写真撮ろうとしたらカメラが動かなくなった)よりはマシだ、しかも俺が体験したのは平将門とかの有名なのじゃない。関ヶ原の東首塚だ
  7. 怖い名無しさん 2015年06月04日 03:35:05

    緑色やばいでしょ?

    関が原は強烈でしょうね
  8. 怖い名無しさん 2016年10月31日 01:11:06

    関ヶ原は有名な戰があった所だしね。しかし、カメラの金縛りには参ったわ


お知らせ
最新記事
怖い話ランダムピックアップ

カテゴリ
タグ一覧
今週の人気記事ランキング
ブログパーツ
最新コメント
スポンサードリンク
サイト内検索
サイト内記事(ランダム)
Special Thanks
おすすめリンク集
逆アクセスランキング
月別アーカイブ
スポンサードリンク